今回のコンセプト
「宝物庫生まれの暴君」型「不屈の独創力」
まえがき
引き続きエクスプローラーの「不屈の独創力」デッキです。前回はゼナゴスシュートやアトラクサと比較して宝物庫型の特徴について考察しましたが、今回は自分なりに最適化した「宝物庫生まれの暴君」型のデッキ紹介になります。
まずはイゼットではなくラクドスにした理由について、私が使ったイゼットのデッキリストとその特徴を踏まえて説明していきます。
twitterで流れてきたデッキ。
イゼット暴君型を使ってみた詳しい感想については前回の記事を読んでいただければ幸いです。ざっくりまとめるとゼナゴスシュートや奔流の機械巨人と比べて宝物庫生まれの暴君に繋ぐまでに特化している、というところ。
デッキがトークン生成のできるキャントリップ+除去+打ち消しで構成されており、トークン生成のカードは全て4積みとなっているところからもそれが分かると思う。除去と打ち消しで脅威を止めつつタイミングを見計らって独創力で仕掛ける、というゲームプランで実際にそれで高い再現性を出すことができた。
ただ、採用されているカードにアドバンテージを取れるものが少ない点が気になった。受け身寄りのカードは単体火力、打ち消しはマナ要求のものが中心となっており1対1交換を限定的にしか取れないものが多い。ならいっそコントロールプランを取るのではなく積極的に相手を崩しに行く方が強いのではないかと考えた。という訳で受け身なイゼットではなくハンデスで能動的に仕掛けるラクドスの型を考えた。
デッキリスト
デッキ詳細
ベースは以前見かけたラクドス型のゼナゴスシュートを参考にした。寓話や大勝ちなどの赤いパーツは据え置きで、当然独創力から「宝物庫生まれの暴君」を出して勝ちというコンセプトも変わっていない。
使ってみるとかなりしっくりきた。ハンデスで前方確認をしつつタイミングがあれば即座に独創力で仕掛ける、という自分のやりたい動きの押し付けがかなりやりやすくなったと思う。
前方確認からの独創力が本当に強い。打ち消しや追放に対してはハンデスが刺さるし、そうでない相手にもテンポを阻害することで相対的に独創力を強くすることができる。
暴君型の独創力は仕掛けたターンに勝てないが、仕掛けたターンは無防備になってしまう。そんな暴君型の都合にもハンデスがマッチしていると感じた。打ち消しを構えながら独創力となるとマナがかなり必要になるため現実的ではない。しかし、ハンデスしつつトークン生成、またはハンデスしつつ独創力であれば自分の動きを歪めることなく妨害を組み込むことができる。
メインボード
ハンデスで能動的に動くことができ、除去の当たる範囲が広くなっている。ただ、推理を採用できなくなったことでトークン生成役が大きく変わっている。トークン生成役に採用したのは以下の4種類。
「検体探し」だけ4枚で残りは2枚ずつ採用している。
「検体探し」は講義によって動きが安定するので4枚欲しい。「環境科学」「害獣召喚学」「封印突破法」の3択を選べるのも便利だし、唱えないカードでもルーティングのタネにできるので貰い得。また、ミレックスと赤土地しかないといった状況でも環境科学から3ターン目の黒土地が確定するので、初手にあるだけでキープ基準を緩くしてくれる。
「腐敗した再会」はインスタントで打点になるトークンを生成でき、墓地からも軽く唱えられる点が強い。除去に当たりやすいクリーチャートークンしか生成できないのが少し難点。
「吸血鬼の口づけ」は対処され辛い血トークンを2つ生成できる点が強い。ただ、手札が増えるわけでもなく、2点ドレインが効果的に働く場面も少ないので単体ではどうしても弱い。
「命取りの論争」は手札を増やせる上にバリューの高い宝物を生成できる点が強い。また、暴君に追放除去を打たれた場合に除去を避けつつ死亡時誘発を確実に誘発させられるので特に「一巻の終わり」や「放浪皇」に対して構えられると美味しい。しかし、トークンの数が増えるわけではなく下準備がないと唱えられないので、トークン生成の役割は薄い。
とりあえずこの4種類にしたところどのカードも使う機会があったため他のカードは試していない。候補としては「ギックスの愛撫」「謎の骸骨の事件」などで「吸血鬼の口づけ」との交換から試してみたい。
追記(色々なトークン生成カード試した感想)
基本的に吸血鬼の口づけの枠と交換しています。
敵対するもの、オブ・ニクシリス
継続的にアドバンテージを取れることや、1枚の打ち消しでは対処できない動きができることなど評価できる点は多かった。特にコントロール対面だと活躍しやすい。
ただ、デッキにクリーチャーが入っていない都合上、犠牲を強く使えているか疑問を覚えた。せっかくコピーは初期忠誠度を高くできるのに1や2でしか出せないのは勿体無い。「宝物庫生まれの暴君」のパワーが6なのも即奥義に繋げないので絶妙に噛み合いが悪い。
ギックスの愛撫
弱い。3マナでハンデスしかしないのでテンポが悪く、パワーストーンの使い道が独創力にほぼないというのが致命的。どの対面でも打ちたいと思える場面がなかった。
サイドボード
サイドボードも基本的にはリストを参考にしつつ、イゼットの時に強かったカードを足してみた。ハンデスや打ち消しといった相手からの対話を拒否するための「神聖の力線」と「思考のひずみ」、アグロに対して「危難の道」と「吸血鬼の復讐」、広く対応できる「強迫」という感じ。
実質メインボードの講義カードから紹介していく。安定の「環境科学」はさておき地味に活躍してくれたのが「害獣召喚学」。単なる独創力のタネではなくチャンプブロッカーとして受けに回ることも、「検体探し」のトークンと合わせて3点クロックを成立させることもできる。「封印突破法」は講義カードの数を確保するために入れたが、必要に応じて置物破壊にアクセスできるという安心感があったので満足している。
サイドボードで絶対に欲しいと思ったのは「神聖の力線」と「思考のひずみ」。
「神聖の力線」は黒系のデッキなら必ず入ってくる「思考囲い」を無視できるだけでなく、最近人気の無駄省きに対して出すとデッキの大半が無駄札になるためかなり楽な戦いになる。黒絡みのデッキに当たると割と脳死でサイドインしていた。地味な恩恵ではあるものの「血管切り裂き魔」の誘発は対戦相手を対象に取っているので力線があると誘発しなくなる。
「思考のひずみ」はアゾコンが苦手だったので採用した。打ち消されないおかげで何も考えずに突っ込んでいけるのが本当に好き。サイドインする相手はアゾコンくらいに限られるが、環境に多いデッキなので使用する頻度は割と高かった。
全除去枠の「危難の道」と「吸血鬼の復讐」についてだが、アグロ相手には採用していたものの必要な時が少ないと感じた。暴君のライフゲインである程度アグロ耐性は高いと思っているので、全除去が必須かと言われるとそうでもない。個人的には「危難の道」抜きを検討している。独創力の都合上3ターン目に黒2マナを出すのが難しい上に、対象をボロスヒロイックや赤単とすると「吸血鬼の復讐」でも除去できるクリーチャーの方が多いと思う。
自分がデッキを作るにあたって考えたことは概ね出し切った気がします。なんなら構築段階ではこんなに考えてない。
追記(メイン/サイドカードの変更)
吸血鬼の復讐→高山の月、乱動する渦
ラクドスヴァンパイア戦で自信満々に吸血鬼の復讐を打ったら自分のゴブリンだけが死んでボコボコにされたので二度と使わないと心に決めました。
乱動する渦はピン刺しがちょうどいいくらいの活躍をしてくれる。アマリア相手の時はMVPになってくれるし、そうでなくても遅くて妨害に寄っている相手にとりあえず入れておけば貴重な数点のライフを奪ってくれる。自分が受けるダメージは暴君のライフゲインで無視できるので全く気にならなかった。
高山の月は正直微妙。一時期異常にロータスコントロールに当たってたので入れていたが今は緑単が多いのでそれに合わせたカードにしたい。
吸血鬼の口づけ→敵対するもの、オブ・ニクシリス
害獣やゴブリンを犠牲にして少ない忠誠値で出てきても、本体と合わせると2点ドレイン以上の仕事はしてくれる。試合への影響力を考えるとさすがに吸血鬼の口づけよりは強いということで変更。
危難の道→絶滅の契機
全除去枠の差し替え。このデッキは相手に暴君以上のサイズを並べられるのが最も苦しい、つまり緑単信心との相性がひどい。当たった時点である程度負けを覚悟している。そこで、全除去枠を緑単信心が最も嫌がるであろう絶滅の契機にすることで多少の相性緩和を目指した。
まとめ
独創力+暴君っていうプランが強いので強さはある程度担保されている、というのはともかくとして使用感はかなり良かったです。自分が思い描いていた能動的な攻めが実現できました。勿論3ターン目「血管切り裂き魔」など相手の動きを通されることも増えましたが、それをされても殴りあえるポテンシャルがあるので弱くなったとは感じなかったです。自分本位な動きが正解になるのでイゼットよりも使うのが簡単かなとも思います。楽しいデッキだったのでちょっとでも興味を持ってくれた方は是非試してみてください。
実戦動画
part1
part2